教員を辞めるのはもったいない?後悔しないための決断法

この記事の監修者

教育転職ドットコム 田中

教育転職ドットコム 田中

代表取締役

詳しく見る

教員の道を志すもまずはビジネス経験を積もうとコンサルティングファームに入社の後、リクルートに転職。人事採用領域と教育領域で12年間、法人営業および営業責任者として従事し、年間最優秀マネジャーとして表彰。退職後、海外教育ベンチャーの取締役などを経て株式会社コトブックを創業。大手学習塾や私立大学など教育系企業のコンサルティングなど教育領域に関する知見を活かし、教育領域の転職支援を行う傍ら、京都精華大学キャリア科目の非常勤講師も務める。

「もう限界かもしれない」――そう感じていませんか。
やりがいを感じながらも、激務や将来への不安から「辞めたい」と思うことは自然なことです。

一方で、「辞めるのはもったいない」「自分には他の仕事がないかも」と迷う方も多いでしょう。このページは、そんなあなたが気持ちを整理し、後悔しない選択をするためのヒントをお届けします。
まずは落ち着いて、今の気持ちを言葉にしてみましょう。

この記事の目次

こんなお悩みありませんか?

  • 今の働き方に限界を感じている人へ
  • 転職したいけど自信がない人向け
  • 自分らしいキャリアを見つけたい人

教育業界専門の
キャリアアドバイザーが担当

「もったいない」と言われて辛い…その心の声

教員を辞めたいと考えたとき、多くの人が「もったいない」という言葉に心を揺らします。それは他人から言われる場合もあれば、自分の中から聞こえてくる声でもあるでしょう。長く続けてきた仕事だからこそ、そう感じるのは自然なことです。

では、その「もったいない」という気持ちの正体は何なのでしょうか。

周りの期待という重圧

「先生」という仕事は、社会的にも信頼されやすい職業です。


家族や友人から「安定していて立派な仕事」と思われていることも多いでしょう。


だからこそ、「辞めたい」と伝えたときに、「せっかく先生になれたのに」と心配されたり、引き止められたりすることがあると思います。それらの言葉は、あなたを思う優しさから生まれたものでしょう。

周囲の期待と、自分の気持ちの両方を見つめながら、今後を考えていくことが大切です。

安定を失うことへの恐怖

公務員として働く教員は、景気の影響を受けにくく、安定した環境で働ける職業です。

毎月の給与やボーナス、福利厚生の安心感を手放すことに不安を感じるのは自然なことです。「もし転職がうまくいかなかったら…」と考え、次の一歩を踏み出せずに迷う人も少なくありません。

生徒や同僚への気がかり

「自分が辞めたら、生徒たちはどうなるだろう」「同僚に迷惑をかけてしまうかもしれない」――

そうした気持ちが、辞める決意をためらわせることがあります。

特に、生徒への思いや、共に働いてきた同僚への責任感が強いほど、「自分だけ抜けるわけにはいかない」と感じてしまうのは自然なことです。

でも本心は「もう限界」

周囲の期待や将来への不安、そして責任感。

様々な思いが重なりながらも、心の奥では「もう限界かもしれない」と感じていませんか。

そのサインを見過ごして無理を続けても、良い結果にはつながりません。

まずは立ち止まり、自分の気持ちに正直になってみましょう。

「辞めたい」と感じるのは自然なこと

「辞めたいと思うのは、自分が弱いから」――そう考えていませんか。
しかし、それはごく自然な感情です。
客観的なデータからも、いまの教育現場が多くの教員にとって大きな負担となっていることが示されています。
「辞めたい」と感じること自体は、決して特別なことではありません。

教員の精神疾患休職者数

文部科学省の調査によると、2023年度(令和5年度)に精神疾患を理由に休職した公立学校教員は7,119人となり、過去最多を更新しました。
これは、教育現場における負担の大きさを示すデータのひとつです。
同省によると、近年は長時間勤務や人間関係の悩み、業務量の増加などが背景にあるとされています。

年度精神疾患による病気休職者数
令和元年度5,478人
令和2年度5,203人
令和3年度5,897人
令和4年度6,539人
令和5年度7,119人

(参考:精神疾患による病気休職者の学校種別・性別・職種別・年代別状況(教育職員)

https://www.mext.go.jp/content/20241220-mxt_syoto01-000039268_5.pdf

長時間労働の客観的データ

日本の教員の働き方は、海外の先進国と比べても特徴的です。

OECDの国際教員指導環境調査(TALIS 2018)によると、中学校教員の一週間あたりの総勤務時間は56.0時間で、OECD平均(38.3時間)を大きく上回り、参加国の中で最長でした。

1. 週あたりの総仕事時間(中学校教員)

項目日本(中学校教員)国際平均(OECD)
一週間あたりの総仕事時間56.0時間38.3時間
順位参加国中 最長

2. 業務内容別の時間配分(中学校教員)

このうち、授業以外の業務時間が特に長い点が特徴です。

授業準備や事務作業、部活動指導、学校運営などに多くの時間が割かれています。

業務内容日本(中学校教員)国際平均(OECD)
指導(授業)時間18.0時間20.3時間
一般的な事務業務5.6時間2.7時間
課外活動(部活動など)5.6時間1.7時間
学校運営業務への参画2.9時間1.6時間
授業の計画・準備8.5時間6.8時間

海外では教員が「授業準備」と「生徒指導」に集中できる環境が整っていますが、
日本では「事務業務」や「課外活動指導」にも多くの時間を費やしている実態があります。

(出典:文部科学省「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018」概要
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2019/06/19/1418199_2.pdf

無理を続けることの危険性

心や体が発する「限界のサイン」を無視し続けると、日常生活のパフォーマンスが落ちたり、集中力が続かなくなるなど、心身のバランスを崩すことがあります。

  • 心のサイン: 意欲の低下、イライラ、気分の落ち込み、不眠
  • 体のサイン: 慢性的な疲れ、頭痛、めまい、食欲の変化

これらは、心や体が「休息が必要」と伝えているサインです。
無理を続けず、自分をいたわる時間を意識的に取ることが大切です。

辞めたい」は自分を守るサイン

「辞めたい」と思う気持ちは、決して弱さではありません。

それは、負担の大きい環境から自分を守ろうとする自然な心の反応です。

感情を押し込めず、客観的なデータや第三者の意見も参考にしながら、冷静に今後を考える時間を持ってみましょう。

実は高い市場価値!教員の経験が活きる強み

転職者の事例
教員の市場価値は高い

「教員しか経験がないから、他の仕事では通用しない」と感じていませんか。

実際には、教育現場で培った多様なスキルは、民間企業でも高く評価されています。

特にマネジメント力や調整力、説明力、目標達成力などは、多くの業界で共通して求められる能力です。

マネジメント・調整能力

教員は、個性豊かな生徒をまとめながら、一つのクラスを円滑に運営しています。

この経験は、組織運営やチームマネジメントに通じるものです。

また、保護者や地域、同僚など多様な立場の人と連携する中で、自然と高い調整力が身についています。

プレゼンテーションスキル

日々の授業は、伝える力を磨く実践の場です。

分かりやすく説明し、相手の理解を促すスキルは、営業や企画、研修などの分野でも活かすことができます

目標達成に向けた遂行力

「生徒の成績を上げる」「行事を成功させる」といった取り組みを通じて、

計画→実行→改善というサイクルを経験してきた人も多いでしょう。

この行動プロセスは、ビジネスにおけるプロジェクト推進にも共通します。

異業種で高く評価される理由

これらのスキルがなぜ民間企業で高く評価されるのか、具体的な職種と合わせて見てみましょう。

教員として培ったスキルビジネスの世界で活かせる職種例評価されるポイント
マネジメント・調整能力人事、営業マネージャー、コンサルタントチームをまとめ、多様な関係者と円滑な人間関係を築ける
プレゼンテーションスキル営業、企画、研修講師、広報人を惹きつける話術、分かりやすい資料作成能力
目標達成に向けた遂行力商品開発、マーケティング、ITプロジェクト管理困難な課題にも粘り強く取り組み、成果を出せる実行力
対人コミュニケーション能力カウンセラー、キャリアアドバイザー、カスタマーサポート相手に寄り添い、信頼関係を築き、課題解決に導ける

あなたが日々の中で培ってきた力は、業界を問わず多くの場で求められています。
まずは、自分の強みを客観的に整理してみましょう。

辞めてどうだった?転職成功者のリアルな声

「でも、実際に転職した人はどうなんだろう?」と気になりますよね。ここでは、教員から異業種へ転職し、新しいキャリアを歩んでいる方々の声をご紹介します。

ITインサイドセールスへ転職したAさんの声

インサイドセールスは、顧客の課題をヒアリングし、自社の商品やサービスで解決策を提示し、商談につなげる仕事です。

教育現場では生徒や保護者など関わる人の多様な課題を理解し、それに応じた対応をしてきましたが、その経験がそのまま顧客対応に活かせています

IT業界は専門用語も多く最初は苦戦しましたが、日々学びながら多様な顧客とのコミュニケーションを通じて成長を実感できています。

人材業界へ転職したBさんの声

進路指導の経験が転職に役立つとは思いませんでした

キャリアアドバイザーは、求職者一人ひとりの適性や希望を聞き出し、最適なキャリアプランを提案する仕事です。

生徒の可能性を引き出してきた経験が、大人のキャリア支援に活かせています。サポートしていた求職者の方に内定が決まった瞬間は、教員時代以上に喜びが大きく、この仕事のやりがいを強く感じました。

教育系企業へ転職したCさんの声

 教員の仕事は好きでしたが、授業以外の膨大な業務に追われ、「本当にやりたいこと」である教材研究に全く時間を割けないことに強いジレンマを感じていました。

そこで「現場経験」を武器に、教材開発の企業へ転職。面接では、学校が抱えるリアルな課題感を具体的に話したことが、高く評価されました。

現在は教材企画として、教員時代の経験を存分に発揮しています。「生徒はここでつまずく」といった現場目線のアイデアを直接商品開発に活かせることに、大きなやりがいを感じています。

あなたの人生は、あなたのもの

「教員を辞めるのはもったいない」という言葉に、心を縛られていませんか?「辞めたい」と感じるのは、あなたが弱いからではなく、それだけ頑張ってきた証拠です。もし今、一人で悩みを抱えているなら、一度キャリアのプロに相談してみることをお勧めします。客観的な視点を得るだけで、道は大きく開けるはずです。

あなたの人生は、他の誰のものでもありません。あなた自身が心から納得できる道を選んでください。その一歩を、心から応援しています。

この記事の監修者

教育転職ドットコム 田中

教育転職ドットコム 田中

代表取締役

詳しく見る

教員の道を志すもまずはビジネス経験を積もうとコンサルティングファームに入社の後、リクルートに転職。人事採用領域と教育領域で12年間、法人営業および営業責任者として従事し、年間最優秀マネジャーとして表彰。退職後、海外教育ベンチャーの取締役などを経て株式会社コトブックを創業。大手学習塾や私立大学など教育系企業のコンサルティングなど教育領域に関する知見を活かし、教育領域の転職支援を行う傍ら、京都精華大学キャリア科目の非常勤講師も務める。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
この記事の目次