20代教員必見!転職の理由と実例をご紹介

この記事の監修者

教育転職ドットコム 吉田
キャリアアドバイザー
詳しく見る新卒で会計コンサルティングファームに入社し内部統制構築支援や決算早期化支援プロジェクト等に携わった後、リクルートへ転職。まなび(教育)領域で大学を中心とした高等教育機関の募集戦略の策定やマーケティング支援に携わる。その後教育関連企業(学習塾)を立ち上げ、創業2か月で単月黒字を達成。学習塾運営のみならず、地域の保護者を対象にした高校大学受験のための進路指導講演会、高校入試問題の作成等、「教育」分野へ広範にわたって関わっている。2022年株式会社コトブックへ参画。
教員として働いてきたけれど、「このままでいいのかな?」と感じている20代の方へ。
実は、今の20代こそが、教員から別のキャリアに踏み出すベストなタイミングなんです。
日々の授業準備に追われ休日出勤や部活動指導、保護者対応。時間も心の余裕もなく、自分のキャリアについて立ち止まって考える暇もない。
そんな現職の教員の方、あるいは教育業界に関心を持ちつつも教職に違和感を感じている方に向けて、“転職”という選択肢を真剣に掘り下げていきます。
特にこの記事では、教員という安定職を手放すことへの不安を解消しながら、なぜ今が転職に適しているのかをわかりやすく解説します。
20代教員が転職を考える理由とは?
特に20代は、キャリアを見直し、キャリアチェンジが効きやすい貴重な時期です。
20代教員が転職を考える主な理由と、その背景にある本音を掘り下げていきます。
人間関係や保護者対応がつらい
教師は、精神的・肉体的にも未成熟な生徒を相手にする仕事です。いじめなど生徒間のいざこざへの対処や、様々な教育観・子育て観を持つ保護者への対応も求められます。
1人1人に寄り添った対応をするのは疲労につながるでしょう。
また、一般の会社員は大人同士のかかわりが主であるのに対し、教員は子供を相手にするため、一人前の大人として、模範的・規範的な行動が求められます。
将来のキャリアが見えにくく、不安を感じている
20代の若手教員の中には、「この先、自分はどうなっていくのだろう」と将来に対して漠然とした不安を抱えている人が多くいます。年次を重ねれば学年主任や教務主任といったポジションを任されることはあっても、その道が本当に自分の望むキャリアなのか確信が持てないこともあるでしょう。
また、少子化が進む中で、「このまま定年まで続けられるのか」と不安を感じる声もよく耳にします。
休まる時間がなく、心身の疲労が限界に近い
教員の仕事は、授業、授業の準備、教材研究、テストの採点、部活動の監督など多岐にわたります。近年は働き方改革で勤務状況も改善されてきましたが、それでも他業種と比べて勤務時間外の労働が多い現状です。
どれだけ努力しても報われにくい労働環境
生徒のために夜遅くまで教材を準備したり、保護者対応に心を砕いたりと、日々エネルギーを消耗している教員は多く存在するでしょう。
しかし、どれだけ努力しても「結果が数字として見えにくい」「誰からも評価されにくい」「頑張っても業務が減らない」といった現実に直面し、虚しさを感じてしまうこともあります。
さらに、評価基準が曖昧な場合も多く、努力と成果が結びつきにくい構造が存在しています。
教員の転職が難しいと考えられている理由
教員からの転職は「難しい」「ハードルが高い」と感じる人が多いです。特に長年教育現場に身を置いてきた方にとっては、一般企業の働き方や文化が未知の世界に思えることもあります。
しかし、実際にはその「壁」は思っているよりも低く、正しい準備や視点を持つことで十分に乗り越えられます。ここで、教員が転職に踏み切れないと感じてしまう代表的な理由を整理していきます。
ビジネスの経験が少ないと思われがち
教員経験しかない場合、「一般企業で通用するのか?」と不安に感じる人は多いです。確かに、教員は独自の文化やルールの中で働いており、ビジネス用語や商習慣に馴染みがない部分もあります。しかし、それは「知らないだけ」であり、「できない」とはまったく別物です。
むしろ、教育現場でのスケジュール管理力、プレゼン能力、調整能力などはビジネスでも高く評価されるスキルです。最近では異業種の経験を歓迎する企業も増えており、「教員」というバックグラウンドを強みと捉える採用担当者も少なくありません。
教員以外の経験がなく、自信を持ちづらい
「社会人経験はあるけど、民間企業は未経験」という状態に、尻込みしてしまう気持ちはわかります。しかし、それは単に“業界が違う”というだけの話。教員としての経験は、チームマネジメント、対人調整、説明力など、多くの分野で応用可能です。
自信が持てない最大の原因は、「他の働き方を知らないから」。実際に情報収集をしたり、転職エージェントと話したりすることで、自分の市場価値を客観的に把握でき、自信にもつながります。
転職活動に割く時間が取りにくい
教員の忙しさは社会的にもよく知られており、「平日に休みを取って面接に行く」ことすら難しいケースもあります。ただ、近年はオンライン面接や柔軟なスケジュール対応が一般化しており、現職のまま転職活動を進める人も増えています。
さらに、転職サイトや転職エージェントを活用すれば、求人探しや書類作成の手間も大幅に軽減できます。「忙しいから転職できない」と思い込まず、「忙しい中でも転職できる方法がある」と視点を変えることが大切です。
転職後に待遇が下がる可能性がある
確かに、転職直後は年収が一時的に下がるケースもあります。しかし、それは“スタートラインが違う”というだけのこと。長期的に見れば、スキルアップやキャリアアップによって収入が大きく上がることも多くあります。
また、給与以外の待遇——たとえば「休みの取りやすさ」「人間関係のストレス」「成長の実感」などを重視する人も多く、転職後の満足度が高い例は珍しくありません。
大切なのは「今の待遇だけ」で判断せず、「将来のキャリア設計と幸福度」で比較することです。待遇ダウンの不安は理解できますが、それを理由に転職を諦めるのは非常にもったいない選択です。
20代教員の転職活動のメリットとポイント
20代は社会人としてまだまだ可能性にあふれた時期であり、転職市場においても非常に評価されやすい年代です。教員として数年間働いてきた経験は、他の業界でも十分に通用する資産になります。
この章では、そんな20代教員が転職を考える際に知っておきたいメリットと、実際に転職活動を進めるうえで押さえておくべきポイントを詳しく紹介します。

未経験でも挑戦しやすい“ポテンシャル採用”が狙える
20代は社会的に「ポテンシャル採用」が主流となる年代であり、経験が浅くても将来の伸びしろや人柄、意欲が評価されやすいタイミングです。特に教員から民間企業へのキャリアチェンジは一見遠いように感じるかもしれませんが、教育現場で培ったコミュニケーション能力や調整力は、営業職やカスタマーサポート、事務職などさまざまな職種に応用可能です。
実際に、教員から転職した多くの人が「教員の経験が意外にも評価された」と口を揃えて言います。企業側としても、教育業界出身者のまじめさ、誠実さ、責任感の強さを高く評価する傾向があります。つまり、「未経験=マイナス」ではなく「未経験だけど伸びしろがある=プラス」になるのが、20代転職の大きな特長です。
基本的なビジネススキルを身につけておく
教員として働いてきた人が民間企業で働く際、最初にギャップを感じやすいのが「ビジネススキル」の部分です。特に、メールや電話の対応、議事録作成、データ入力、プレゼン資料の作成など、基本的なPCスキルやビジネスマナーは転職活動前にある程度身につけておくと安心です。
具体的には以下のようなスキルを習得しておくと、書類選考や面接時の印象も良くなります。
- Excel(関数、グラフ作成、データ集計など)
- PowerPoint(わかりやすい資料作成)
- Google WorkspaceやSlackなどのクラウドツール
社会人としての敬語や電話応対に並び基本作法であるこれらはすべて、無料・有料のオンライン講座で学ぶことができます。学ぶ姿勢そのものが評価対象にもなるため、時間のあるときに少しずつでも身につけておきましょう。
転職によって“何を得たいか”を明確にする
転職活動を始める前に「なぜ転職したいのか?」を明確にすることは非常に重要です。漠然と「今の仕事がしんどいから」だけで動いてしまうと、転職後もミスマッチを感じやすくなります。
例えば:
- 年収を上げたいのか
- プライベートの時間を増やしたいのか
- 自分の得意を活かした仕事がしたいのか
- 新しい分野にチャレンジしたいのか
これらを整理することで、自分がどんな業界・職種に向いているのか、どのような企業文化に合っているのかが見えてきます。結果として、応募企業の選定にも軸が生まれ、面接時の受け答えにも説得力が出てきます。
自分にとってベストな“転職のタイミング”を見極める
教員という仕事は年度ごとに区切りがあるため、転職を考えるなら3月末、または8月(1学期の終了時)などの節目が狙い目です。この時期は離職のハードルも比較的低く、スムーズに新しい職場へ移行しやすいタイミングでもあります。
また、繁忙期を避けることも成功のカギとなります。たとえば、3学期中は学校業務が立て込みやすいため、事前に準備を始めておくことが重要です。加えて、民間企業側の採用活動が活発になる「春(4月入社)」「秋(10月入社)」のタイミングに合わせてスケジューリングすれば、より多くの求人に出会える可能性が高まります。
転職は勢いも大切ですが、しっかりと戦略を練って「今がベストのタイミングだ」と自分で納得した上で動くことが、後悔しない転職につながります。
教員から転職した人の実例と活かせるスキル
実際に教員から転職を成功させた人たちは、どのような職種に就き、どのようなスキルを活かしているのでしょうか。この章では、具体的な転職事例を通して、教員経験がどのような業界・職種で評価されているかをご紹介します。
「自分の経験は他の仕事で通用するのだろうか」と不安に思う方も多いかもしれません。事例を通して、自分にも可能性があることを実感してみてください。
人材業界へ転職:面談スキルと生徒や保護者との信頼構築力を強みに
人材紹介会社では、求職者との面談や企業とのマッチングが主な業務です。教員時代に培った「傾聴力」「本質を見抜く力」「信頼関係を築く姿勢」は、求職者との面談でとても重宝されるでしょう。
たとえば、求職者が言葉にできない悩みや要望をくみ取ったり、企業の社風にマッチする人材を見極めたりする際には、教員時代の経験が大きな強みになります。また、保護者対応で身につけた“相手に安心感を与える対話術”も、信頼関係構築に直結します。
実際に、教員から人材業界へ転職した人の中には「初めから営業ノルマを持たされたが、面談スキルのおかげで顧客満足度が高かった」と評価されたケースもあります。人を支える仕事にやりがいを感じていた人には非常に相性が良い業界です。
営業職へ転職:説明力と課題解決力を武器に
教員は、日々保護者や生徒に向けて説明を行い、相手に「納得してもらう」スキルを自然と磨いています。この“わかりやすく伝える力”は、営業職において最も重要な要素のひとつです。
また、教員は日常的に生徒の悩みを聞き取り、課題を分析し、解決策を提案するというプロセスを繰り返しています。これはまさに、顧客のニーズに応じて商品やサービスを提案する営業活動と重なります。
さらに、クレーム対応や関係修復の経験も、BtoB・BtoCを問わず営業の現場で役立つスキルです。結果を数字で評価されることに抵抗がなければ、やりがいや成長を実感しやすい職種といえるでしょう。
福祉・介護業界へ転職:寄り添う姿勢と傾聴力を活かして活躍
福祉や介護の分野では、相手の心に寄り添う姿勢や、相手の立場に立って物事を考える力がとても重要です。教員時代に子どもたち一人ひとりの背景を想像しながら関わっていた経験は、そのまま福祉の現場でも活かされます。
また、感情のコントロールやストレス耐性が求められる現場においても、教員経験者は「精神的にタフ」と評価されることがあります。利用者やその家族との信頼関係を丁寧に築いていくスキルは、介護職員や相談員として大きな武器になるでしょう。
近年では、子ども向け福祉施設や放課後等デイサービスなど、教育的要素の強い福祉施設も増えており、教員出身者が活躍しやすい環境が整っています。
塾や教育系企業へ転職:教える力をそのまま発揮
塾や教育系のスタートアップ企業では、学校現場での“教える力”をそのまま活かせる環境が整っています。特に個別指導塾やオンライン教育サービスでは、指導経験のある人材が即戦力として歓迎されます。
授業づくりや教材作成、教育効果の分析といった教員ならではの業務スキルはもちろんのこと、子どもの成長を支えるという“マインドセット”も評価の対象です。また、保護者とのコミュニケーションや学習相談の対応経験も、教室運営やカスタマーサポートに直結します。
さらに近年は、EdTechと呼ばれる教育×IT分野の企業でも教員経験者の需要が高まっています。「現場を知っている人材」として、教材企画やマーケティングにも関われる可能性があります。教育に関わり続けたい方には、最も自然なキャリアチェンジのひとつです。
教員の経験は、20代の今だからこそ転職に活かせる
教員として働く中で培った「伝える力」「聞く力」「人と関係を築く力」「責任感や継続力」などの強みは、他業界でも十分通用します。特に20代は、柔軟性や成長意欲も評価されやすい年代。異業種で新たなキャリアをスタートするチャンスとして、今のタイミングは非常に有利です。転職は勇気のいる選択かもしれませんが、「変わりたい」と思った今こそが、動き出す最大のチャンスです。私たちはあなたの潜在能力を引き出し、あなたにとってベストな転職をサポートできます。
この記事の監修者

教育転職ドットコム 吉田
キャリアアドバイザー
詳しく見る新卒で会計コンサルティングファームに入社し内部統制構築支援や決算早期化支援プロジェクト等に携わった後、リクルートへ転職。まなび(教育)領域で大学を中心とした高等教育機関の募集戦略の策定やマーケティング支援に携わる。その後教育関連企業(学習塾)を立ち上げ、創業2か月で単月黒字を達成。学習塾運営のみならず、地域の保護者を対象にした高校大学受験のための進路指導講演会、高校入試問題の作成等、「教育」分野へ広範にわたって関わっている。2022年株式会社コトブックへ参画。