塾講師の将来性は厳しい?5年後を見据えたキャリア戦略を解説

この記事の監修者
教育転職ドットコム 吉田
キャリアアドバイザー
詳しく見る新卒で会計コンサルティングファームに入社し内部統制構築支援や決算早期化支援プロジェクト等に携わった後、リクルートへ転職。教育領域で大学を中心とした高等教育機関の募集戦略の策定やマーケティング支援に携わる。その後学習塾を立ち上げ、創業2か月で単月黒字を達成。学習塾運営のみならず、高校大学受験のための進路指導講演会、高校入試問題の作成等、「教育」分野へ広範にわたって関わり、2022年株式会社コトブックへ参画。
「少子化が進む中、この業界で働き続けていいのか」「AIや映像授業が広がれば、講師の役割は変わるのでは」
日々の業務の中で、こうした不安を感じることは珍しくありません。特に20代・30代では、将来のキャリアに迷いを抱く場面もあるでしょう。
一般に、教える業務だけに依存した働き方は環境変化の影響を受けやすい一方で、教育をプロとして支える経験は、今後も評価される場面があります。
本記事では、教育業界の現状を整理したうえで、講師経験を活かしたキャリアの考え方や、中長期的な選択肢について解説します。不安を整理し、次の行動を考えるヒントになれば幸いです。
「塾講師の将来性がないのでは」と思われてしまう背景
根拠のない不安に振り回される必要はありません。まずは、将来性が不安視されやすい要因を整理してみましょう。
少子化による市場への影響
避けて通れない要因の一つが少子化です。文部科学省のデータでも、18歳人口は減少が続いています。
生徒数が減れば、塾の売上や講師の待遇に影響が出る可能性がある、という見方が広がるのも自然な流れでしょう。
AIや映像授業の台頭
近年は、映像授業や、AIの活用が進んでいます。「わかりやすく教える」こと自体は、これらのツールで補える場面も増えてきました。そのため、「授業をするだけの役割」は、以前ほど希少性が高くないと感じられることもあります。
待遇や労働環境への懸念
夜遅くまでの勤務や休日出勤、いわゆるサービス残業といった働き方が常態化している職場もあります。
こうした環境に身を置いていると、「この働き方を40代、50代まで続けられるのか」と将来を考えるきっかけになることもあるでしょう。
労働環境への不安が、長期的なキャリアを描きにくくしている一因になり得ます。
キャリアパスの限定的なイメージ
「塾講師の次は塾長(教室長)しかない」「つぶしが効かない仕事だ」 そんな思い込みも不安を加速させます。教室長になれば営業ノルマに追われ、ならなければ給与は頭打ち。そんな閉塞感が、「ここにいても未来がない」という結論に結びついてしまっています。
塾講師の将来性を正しく理解する4つの視点
社会の変化により、教育に求められる役割も広がっています。現在は、「知識を伝える」ことに加えて、塾講師の価値が別の側面から見直されつつあります。
個別最適化学習の需要増
一斉授業の限界が指摘される中で、生徒一人ひとりの理解度や学習状況に合わせた指導が重視されるようになっています。
学習効率を高めるツールは増えてきている一方、「なぜつまずいているのか」「どのように声をかければ前向きになれるのか」といった部分は、依然として人の関わりが求められます。
AIには代替しにくい「人間力」の価値
不登校児童生徒数が過去最多を更新する中、塾には「学校以外の居場所」としての機能も期待されています。 それぞれの生徒に共感し、励まし、時に叱ってくれる人間的な関わりこそが、高単価なサービスとしての価値を持ち始めています。
(参考:文部科学省 令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要)
拡大を続けるEdTech市場
「教育×IT」のEdTech市場は成長を続けています ここでは、プログラミング教育やオンラインコーチングなど、従来の「教科指導」の枠を超えたサービスが次々と生まれています。こうしたサービスを現場で活用し、改善につなげていくには、教育現場を理解している人材が関わることが重要とされています。
プロが見る塾講師の市場価値
弊社のキャリアアドバイザーは、塾講師のポテンシャルについてこう語ります。
塾講師の仕事は、「成績を上げたい」という期待に向き合い、学力向上を支える点に特徴があります。その過程で培われる指導力や、生徒・保護者との調整経験は、他業界でも評価されることがあります。
一方で、少子化の影響により、業界全体は厳しい環境にあるとも言われています。ただし、単価が上がる分野や、明確な強みを持つ塾が伸びているのも事実です。
そのため、塾講師経験は「どのような環境で、何に向き合ってきたか」によって、市場での評価が分かれる傾向があります。
今後も求められる人材になるための3つのスキル
では、これから先も生き残る講師であるために、今何を磨くべきでしょうか。
❶:学習をデザインするICT活用スキル
タブレット教材や学習管理アプリを活用し、学習データをもとに指導計画を立てる力です。
AIに任せるのではなく、AIを補助として使いながら、学習効果を高める工夫ができる講師は、現場でも重宝される傾向があります。
❷:生徒の主体性を引き出す伴走力
一方的に教えるのではなく、生徒自身が目標を考え、学習を続けられるよう支える関わりです。
この力は、受験指導に限らず、社会人向けの教育サービスなど、さまざまな場面で活かされる可能性があります。
❸:保護者を巻き込むコミュニケーション力
少子化の影響もあり、1人の子どもにかける教育への関心は高まっています。
保護者の不安に向き合い、丁寧に説明を重ねて信頼を築く力は、人が担う場面が多く、教育現場では欠かせない要素です。
経験を武器に!塾講師からの多様なキャリアパス
最後に、実際に塾講師の経験を活かしてキャリアを広げた事例をご紹介します。
EdTech企業に転職したAさん
20代後半男性
転職前:個別指導塾 教室長
転職後:EdTech企業 カスタマーサクセス
「教育には関わり続けたいが、労働環境を変えたい」と転職を決意したAさん。 塾講師時代に培った「保護者や生徒の課題をヒアリングし、解決策を提案する力」が高く評価され、学習アプリを提供するEdTech企業へ転職しました。現在は学校や塾への導入支援を行っており、「現場を知っているからこそ、先生方の困りごとが手に取るようにわかる」と信頼を獲得。年収も前職から80万円アップし、土日祝休みの環境でワークライフバランスも整いました。
人材紹介会社に転職したBさん
30代女性
転職前:集団指導塾 講師
転職後:人材紹介会社 キャリアアドバイザー
Bさんが塾講師として最もやりがいを感じていたのは、生徒との面談で目標を設定し、励ましながら伴走することでした。その「コーチングスキル」と「目標達成への伴走力」を活かせる場として、人材業界へキャリアチェンジ。 現在は求職者のキャリア相談に乗るアドバイザーとして活躍しています。「生徒の合格を一緒に喜んだあの感覚が、今は求職者の内定という形で味わえる」と語り、対人折衝能力を武器に営業成績でもトップクラスの実績を上げています。
Webマーケティング企業に転職したCさん
20代男性
転職前:映像授業塾 運営スタッフ
転職後:Webマーケティング企業 コンサルタント
塾での運営業務を通じて、生徒集客のためのデータ分析や、保護者へのメールマーケティング(ICT活用)に面白さを感じていたCさん。「わかりやすく伝える」という講師特有のスキルは、Web上のコンテンツ制作やプレゼンテーションでも強力な武器になりました。未経験からの挑戦でしたが、講師時代に染み付いた「PDCAを回して改善する習慣」がWebマーケティングの業務と親和性が高く、入社1年目からプロジェクトリーダーに抜擢されています。
未来は自分次第。キャリアの選択肢を広げよう
環境の変化を恐れるのではなく、それをチャンスと捉えてスキルを磨けば、教育業界の中だけでなく、外の世界にも道は開けています。 もし今の環境で「これ以上成長できない」と感じているなら、それはあなたの市場価値を確認するタイミングかもしれません。
あなたの「教える力」を必要としている場所は、想像以上にたくさんあります。まずは一歩、キャリアの可能性を探ってみませんか?
この記事の監修者
教育転職ドットコム 吉田
キャリアアドバイザー
詳しく見る新卒で会計コンサルティングファームに入社し内部統制構築支援や決算早期化支援プロジェクト等に携わった後、リクルートへ転職。教育領域で大学を中心とした高等教育機関の募集戦略の策定やマーケティング支援に携わる。その後学習塾を立ち上げ、創業2か月で単月黒字を達成。学習塾運営のみならず、高校大学受験のための進路指導講演会、高校入試問題の作成等、「教育」分野へ広範にわたって関わり、2022年株式会社コトブックへ参画。