教室長の仕事が辛い理由8選!| 次のキャリアの選択肢も紹介

この記事の監修者

教育転職ドットコム 田中
代表取締役
詳しく見る京都市出身。学生時代から教員の道を志すも教育実習で課題感を感じ、まずはビジネス経験を積もうと総合コンサルティングファームのABeamConsultingに入社。その後、学んだ後に求められる力を採用の領域で体感したいと株式会社リクルートに転職。人事採用領域とまなび(教育)領域で12年間、法人営業および営業責任者として従事し、まなび事業部では年間最優秀マネジャーとして表彰。その後、海外教育ベンチャーの取締役などを経て株式会社コトブックを創業。コンサルタント兼プロジェクトマネージャーとして大手学習塾やブランド大学など教育系企業のプロジェクトを多数担い、担当した案件の全てを当初計画予定以上の成功に導く。京都精華大学 非常勤講師(キャリア科目)。
教室長の仕事は、生徒たちの成長を間近で感じられる、とてもやりがいのある仕事です。
合格発表の際など、生徒が成果を出し一緒に喜びを分かち合える瞬間は、他では味わえないほどの達成感があります。
また、アルバイトの講師たちの指導やマネジメントを通じて、彼らの成長にも貢献できることは、教室長という立場ならではの魅力です。
しかしその一方で、
「責任が重くて辛い」「仕事量が多すぎて限界」
ーそう感じている方もいるのではないでしょうか。
教室長の業務は多岐にわたるうえに、すべてにおいて高い成果と責任が求められます。
- 生徒の進路指導
- 保護者対応
- 講師のマネジメント
- 売上管理や集客
仕事にやりがいはあるものの、日々のプレッシャーや仕事の多さに押しつぶされそうになる、
そういった悩みを抱えているのは決してあなただけではありません。
本記事では、教室長の皆さんに向けて、「なぜ仕事が辛いと感じてしまうのか?」
という理由を8つに整理して解説します。
さらに、年間数百名以上の塾経験の方のキャリア相談を行っている、教育業界専門のキャリアアドバイザーである筆者が、教室長としての経験を活かした次のキャリア選択肢についても具体的にご紹介します。
「今すぐ辞めたいわけじゃないけど、このまま続けてもいいのか不安」
そんな風に感じている教室長の方は、ぜひ最後までご覧ください!
教室長の仕事が辛い理由8選

責任の大きい教室長の仕事だからこそ、実際の現場では「辛い」と感じる場面も少なくありません。
ここでは、教室長が仕事の中で直面しやすい「つらさ」の原因を8つに分けてご紹介します。
1. 対応しないといけない業務が多すぎて、何でも屋状態に
教室長は、生徒への進路指導や講師のマネジメントにとどまらず、教室を日々運営するために必要なあらゆる業務を担う立場です。日常的に管理しなければならないことが非常に多く、雑務で勤務時間が圧迫され、残業が慢性化するという声もよく聞かれます。
例えば、下記のような業務に対応します。
シフト管理・労務管理
スタッフ全体の労務管理を任されるのも教室長の役割で、例えば下記のような業務を担当します。
- 講師・アルバイトのシフト管理
- 労働時間の管理
- 給与のとりまとめ
- 欠勤・早退などのフォロー
特にアルバイト講師が多い塾では、試験期間や長期休暇シーズンに休み希望が集中し、限られた人数で現場を回す必要が出てきます。
長時間かけてシフトを組んだ後に、突然「この日は出られないのでお休みにさせてください」と連絡が入り、再調整のやり直しにまた時間をかける・・・なんてことも。
教材管理
授業で使用する教材の準備・発注・在庫管理も教室長の大切な業務です。
さらに、塾の方針によっては、生徒が通う学校ごとの教科書や問題集に合わせてテストを作成しなければならないケースもあり、各学校の教材を集める必要も出てきます。
教材が不足して授業ができない、といったトラブルが起きないよう、常に先を見越した気配りが求められます。
環境整備など総合的な業務も担う
また、以下のような「誰がやるべきか」が明確でない業務は、すべて教室長の仕事になるケースが多いです。
- 教室内の備品補充
- 掲示物の更新
- 机と椅子の整頓
- トイレの衛生管理
「ペンが足りない」「コピー用紙がない」「掲示物が古い」「駐輪場が乱れている」といった小さな不備も保護者や生徒の印象に関わるため、抜かりなく整える必要があります。
こうした業務を日々こなしていると、「やるべきことを残したまま、あっという間に定時が来てしまう…」という感覚に陥りがちです。
2. 集客や営業ノルマ、合格実績など様々なプレッシャー
教室長は、経営状態の管理、すなわち売上や生徒数などの数値目標の達成も求められます。
毎月の進捗状況は本部からチェックされ、未達の場合には改善指導が入ることも。
そのため、常に「今どれくらい達成しているか」を意識しながら、次に何をすべきかを考え続けなければなりません。
特に売上至上主義の会社であれば、講習の売上目標を達成するために、本来必要のない授業を保護者に提案しなければならないといった局面もあり、葛藤やストレスを感じることもあるでしょう。
また、校門前でのハンディングやポスティング、そのためのチラシ原稿の作成など、地道な集客活動にも多くの時間と労力がかかります。それでもなかなか成果につながらないときは、「何のためにやっているのか…」と精神的に辛くなってしまうこともあります。
さらに、生徒をどれだけ丁寧にサポートしても、希望する進路に必ず合格できるとは限りません。思うような合格実績を出すことができなかった場合、自身の力不足や責任を感じて悩んでしまう方も多いでしょう。
合否は生徒本人の努力や家庭のサポート、当日のコンディションにも左右されるため、教室長ひとりではコントロールできない領域でもあります。
それでも成果を求められ、数字で評価される現実に苦しさを感じる。
──これは、多くの教室長がぶつかる壁のひとつです。
3. 講師のマネジメントに労力がかかる
教室長の重要な役割のひとつが、アルバイト講師の育成と管理です。
実際に生徒と関わるのは講師であるため、教室全体の成績向上を実現するためには、講師の成長が欠かせません。
講師が自信を持って授業に立てるようになるまでには、次の多くの手間と時間が必要です。
- 授業の組み立て方
- 板書の仕方
- 生徒への声かけ
- 時間の使い方
ようやく独り立ちした後も、授業見学や指導報告書の確認、保護者からのフィードバックへの対応など、継続的なフォローアップが求められます。
さらに、せっかく育てた講師が短期間で辞めてしまうこともあり、また採用・育成からやり直しに……。こうした繰り返しのループに、疲れてしまう教室長も少なくありません。
講師のモチベーションを維持しつつ、教室の成果につなげていくには、適切な声かけ・フィードバックだけでなく、時には厳しい指導をしなければいけないこともあります。
人によって向き不向きや相性がある中で、指導に正解がないことが、この業務の難しさだと感じる方も多いでしょう。
4. 保護者からのクレームが精神的につらい
教室長の業務の中でも、保護者対応は特に精神的な負担を感じやすい仕事の一つです。
生徒の成績が思うように上がらなかったときや、指導方針に納得いただけないときなど、保護者面談の中でクレームや厳しい意見を直接受ける場面も少なくありません。
また、塾業界は口コミが集客に直結するという特徴があります。保護者懇談での印象が悪ければ、悪い口コミが広がってしまうこともあり、慎重な対応が求められます。場合によっては、1回の面談で何時間も対応しなければならず、大きな神経をすり減らす要因にもなります。
さらに、塾の授業は子どもが受ける一方で、料金を支払うのは保護者であるため、「中の様子が見えない分、過剰に期待されてしまう」「不信感を持たれやすい」という構造的な難しさもあります。
中には理不尽とも思える要求や、「どう対応しても納得されない」と感じるような状況に直面することもあり、適切に受け止め、冷静に対応できるようになるには相応の経験や慣れが必要です。
5. 家族や友人との時間がとりづらい勤務形態
教室長の勤務時間は、基本的に昼頃に出勤し、夜遅くに退勤する生活リズムになります。また、講習や面談、欠員の穴埋め対応などで、休日出勤や午前中の早出出勤が発生することも珍しくありません。
時期によっては、代休が取りづらいこともあり、「家族とゆっくり過ごす時間が持てない」「連休が取れないので、旅行にもなかなか行けない」と感じる方も多いのではないでしょうか。実際に、パートナーや子どもとすれ違いの生活が続いたり、土日休みの友人たちと予定が合わず、だんだん疎遠になってしまったという話もよく聞かれます。
ライフステージの変化にともない、「もっと家族との時間を大切にしたい」と考えるようになり、転職を決意する教室長も少なくありません。
6. 人手不足で現場の負担が集中する
塾によっては、そもそも講師がなかなか採用できない、あるいは定着せずに辞めてしまうなど、慢性的な人手不足に悩まされている教室も少なくありません。そんな中で、急な欠勤やトラブルが発生すると、教室長が現場に入って対応せざるをえないという方もいるのではないでしょうか。
本来であればマネジメントや保護者対応といった教室長としての業務に集中したいところですが、目の前の授業を止めないために、自ら講師として教壇に立つ日々が続くケースもあります。こうした状況が続くと、日々の業務は「とにかく回すこと」が最優先になり、本来注力したい教室全体の改善や、生徒・講師への丁寧なフォローにまで手が回らなくなってしまいます。
7. 講習期間や受験シーズンなど繁忙期が長く1年中気が抜けない
学習塾では業務が落ち着いている期間が短く、以下のような多くの繁忙期があります。
- 夏期講習
- 冬期講習
- 春期講習
- 定期テスト対策
- 受験対策
特に夏期講習シーズンなどは特別授業が増え、連日長時間働くようなスケジュールになることも。その中で生徒のスケジュール調整や保護者対応、講師の配置や教材準備なども同時に進める必要があり、業務量は一気に膨れ上がります。
また、受験期が近づくと、生徒自身の不安や緊張が高まり、メンタル面のフォローも求められるようになります。
保護者からの要望や心配の声も増えるため、教室内の空気が常に張り詰めた状態になることもあります。
このように、一年を通して気が抜けるタイミングがほとんどないことで、精神的な疲労が少しずつ蓄積され、ふとした瞬間に「仕事がつらい」と感じてしまう方もいるのではないでしょうか。
8. 授業準備や資料作成など生徒に向き合う以外の業務も多い
教室長の仕事は、生徒と直接関わる時間だけでは成り立ちません。
次のような、いわゆる裏方の事務業務も膨大に存在します。
- 成績管理
- 教材の準備
- 講師の指導報告のチェック
- 面談記録の整理
- 社内資料の作成
- 会議対応
「もっと生徒と向き合いたいのに、雑務ばかりで1日が終わる」「気づけば、生徒の様子をじっくり見る時間も取れなかった」そんなもどかしさを感じている教室長もいるのではないでしょうか。
そもそも、“子どもたちの成長をサポートしたい”という思いでこの仕事を選んだという方も多い中、現実は、目の前の事務作業や数字に追われ、「理想と現実のギャップ」に悩んでしまうこともあるでしょう。
教室長を続けた場合のキャリアパスと平均年収も解説
エリアマネージャーへの昇進|数字や管理業務、マネジメントを極める
エリアマネージャーは複数の教室を統括しながらエリア全体の売り上げや生徒数などの管理が求められます。
部下となる教室長たちを束ねる立場となるため、人材育成力や数値管理能力が大きく問われるキャリアといえるでしょう。
年収の目安 | 550 〜 850万円 |
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得られるスキル | 戦略立案力 指導力 強いマネジメント力を養う |
難易度 | ★★☆ |
本社への異動|仕組みづくりや会社全体視点に興味があるなら
塾によっては、本社部門への異動希望を出すことが可能なケースもあります。
人事として採用や育成に携わったり、教材開発や研修制度の設計に関わるなど、転職をしなくても現場とは異なる角度から教育に関わることができる道です。
「教育業界にいたいけれど、現場以外の仕事に挑戦したい」「今の会社が好きだからこそ、別のポジションで新しいスキルを身につけたい」という方におすすめです。
年収の目安 | 550 〜 700万円 |
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得られるスキル | ポジションにもよる |
難易度 | ★★★ |
教室長としての専門性を磨き続ける|教育現場への熱意を活かすなら
教室長として専門性を高めていくというのも一つの手です。
現場で生徒一人ひとりの成長をみることにやりがいを感じる、管理職より講師たちと良い教室を作り上げていく現場の実感が好きというような、できるだけ現場に立ち続けたいという方におすすめです。
生徒数が多いマンモス校舎の運営や、売上が低迷している教室の立て直し、新規教室の立ち上げなど、より難易度の高いミッションを任されながら、教室長としての専門性を高めていくことができます。
年収の目安 | 500 〜 700万円 |
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得られるスキル | 教室運営の専門性 |
難易度 | ★★☆ |
独立する|リスクもあるが自由度と経営スキルを求めるなら
教室長としての経験を活かし、個人で塾を開業したり、フランチャイズ塾のオーナーになるという選択肢もあります。
独立の場合は、自分のカラーを活かしてゼロから塾を立ち上げる楽しさややりがいがあり、フランチャイズの場合は有名塾のブランド力やノウハウを活用できるため、比較的早い立ち上げが可能です。
ただし、経営の責任はすべて自分にかかるため、リスクとリターンのバランスをしっかり考える必要があります。
年収の目安 | 400 〜 1,500万円 |
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得られるスキル | 経営スキル |
難易度 | ★★★ |
教室長として培ったスキルを活かし転職する|他の可能性を見出すなら
教室長としてこれまで培ってきたスキルや経験を活かし、他塾への転職や、教育系ベンチャー、教材会社、さらには教育業界以外の異業界に転職するという道もあります。
「今の働き方に違和感がある」「もっと自分に合った環境で働きたい」「新しい道に挑戦してみたい」と感じている方には、一度、自分の経験と価値観を棚卸しして、どんな仕事・働き方が合っているかを見つめ直す機会をつくることをおすすめします。
教室長におすすめの求人の一例
- プライム上場 大手個別指導塾のエリアマネージャー(想定年収:500 〜 700万円)
- 学習プラットフォーム開発企業のフィールドセールス(想定年収:600 〜 1150万円)
- 大手人材紹介会社のキャリアアドバイザー(想定年収:460 〜 600万円)
- 大手オンライン学習サービスの高校営業(想定年収:420 〜 510万円)
- オンライン英会話の学習コンサルタント(想定年収:400 〜 550万円)
- 専門学校の教務・学生サポート(想定年収:400 〜 550万円)
教室長の経験は、他塾・異業界でも高く評価される

よく、「塾で働くと転職がしづらい」「潰しがきかない」といった声を聞きますが、正しくスキルを整理して伝えることができれば、異業界でも十分に評価されます。
教育業界特化の転職エージェントとしてこれまで700名以上の教室長の方の転職活動をサポートさせていただいた経験がありますが、塾業界出身者が異業界で活躍するケースは多数存在します。
教室運営経験や人材マネジメント経験は評価されやすい
例えば教室長の業務のうち、教室運営や講師たちのマネジメントといった経験は、異業界である小売業・サービス業などのマネジメントポジション(店長やSV、エリアマネージャーなど)で、即戦力として高く評価されることが多いです。店舗運営力・経営管理力・人材マネジメント力の業務親和性が高いことが理由に挙げられます。
例えば、他業界でも評価されるものは下記のようなものがあります。
保護者への面談や講習の提案などの経験
限られた時間の中でヒアリングを通して保護者のニーズを的確に汲み取り、それに応じた最適な提案を行う力は、「顧客折衝力」や「提案営業力」として認識されます。
すでに塾に通っている生徒の保護者に対して講習やオプション授業を提案する業務経験
「既存顧客へのアップセル営業」の実務経験にあたり、BtoC営業やリテール営業に強みを持つ人材として評価されやすいポイントです。
このように、教室長が日々の業務で培ってきたスキルは、「接客・販売」「個人営業」「法人営業」「カスタマーサクセス」「キャリアアドバイザー」など、顧客との信頼関係構築が鍵となる多くの職種で活かすことができます。
「教育転職ドットコム」なら他塾への転職も、異業界への転職も得意
教室長からの転職を成功させるために最も重要なのは、これまでの業務経験をどのように分解し、どのように“他業界でも通用するスキル”として言語化・アピールするかという点です。
これは一人で行うのは意外と難しいものです。
そんなときは、教育業界の構造や教室長の業務を深く理解している転職支援のプロ「教育転職ドットコム」にぜひご相談ください。
「教育転職ドットコム」は、教育業界に特化した転職エージェントとして、教室長の経験を活かした他塾への転職はもちろん、異業界へのキャリアチェンジにも強みを持っています。
教育転職ドットコムのキャリアアドバイザーは、教室長という仕事の特徴や、他業界で評価されるポイントを熟知しており、あなたの強みを最大限に活かせる求人をご紹介できます。
さらに、エントリー企業に合わせた職務経歴書のブラッシュアップ、これまでの経験をどうアピールするかの言語化サポート、面接対策まで、内定獲得まで一貫して丁寧に伴走します。
転職を検討している段階でも大丈夫!まずは無料相談しよう
「今すぐ転職したいわけじゃないけれど、少し将来が不安」
「とりあえず他にどんな選択肢があるのかだけでも知りたい」
教育転職ドットコムではそんな方でも、お気軽にご相談いただけます。
転職の意思が固まっていない状態でも、あなたのこれまでのご経験やご希望を丁寧にヒアリングし、可能性のある選択肢を一緒に整理していくところから始められます。
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教育転職ドットコム 田中
代表取締役
詳しく見る京都市出身。学生時代から教員の道を志すも教育実習で課題感を感じ、まずはビジネス経験を積もうと総合コンサルティングファームのABeamConsultingに入社。その後、学んだ後に求められる力を採用の領域で体感したいと株式会社リクルートに転職。人事採用領域とまなび(教育)領域で12年間、法人営業および営業責任者として従事し、まなび事業部では年間最優秀マネジャーとして表彰。その後、海外教育ベンチャーの取締役などを経て株式会社コトブックを創業。コンサルタント兼プロジェクトマネージャーとして大手学習塾やブランド大学など教育系企業のプロジェクトを多数担い、担当した案件の全てを当初計画予定以上の成功に導く。京都精華大学 非常勤講師(キャリア科目)。